抱き寄せて、キスをして《短編》
興味なかったとか?

いや、そうじゃない。

けど帰り際で、あまり長くその事について話す雰囲気でもなかった。

しかも新太は、恋人について大して話したくはなさそうで。

…………。

新太が、どこか遠く離れた場所へ行ってしまったような感じがして、私は少し驚いた。

それから立ち止まり、歩道の真ん中でブンブンと頭を振る。

いやいや、同じ会社だし、家も近いし。

会おうと思えばいつでも会えるわ。

外食って気分でもないし……今日は自炊しよ。

私はスーパーに寄ると食材を買い、家へと帰った。
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