抱き寄せて、キスをして《短編》
加奈ちゃんはいつもと変わらない様子だったけど、私は必要以上に彼女と関わることはなかった。

三崎課長もいつも通りで、彼を見ていると昨日の事が嘘みたいだった。

……今日は早く帰って寝よう。

何だか疲れてるし。

……総務課、行かないと。

私はパタンナーとの打ち合わせでいない菜々子先輩の為に、領収書を総務課へと届けに向かった。

エレベーターが私達企画部のある3階に止まり、扉がゆっくりと開いた瞬間、私は息を飲んで硬直した。

エレベーターの中に、新太がいたから。

新太に言われた言葉が甦る。

『 愛とかないのに、一緒に飯食って、DVD観て、買い物行って、セックスすんの』
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