抱き寄せて、キスをして《短編》
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週末、私は街に出掛けた。

理由は……三崎課長に、映画に誘われたから。

独りになると、新太と仲たがいした事ばかり考えて、苦しくなる。

お互いに長い間恋人がいなかったために、馴れ合いすぎたのだ。

けれど、新太には恋人が出来た。

もう、友達以上の関係は終わりにすべきだ。

三崎課長の誘いは素直に嬉しかった。

だって気が紛れる。

新太の事を考えなくてすむ。

劇場の前で、三崎課長の姿を見つけた。

「課長!」

私が走り寄ると、課長は決まり悪そうに口元に忙しなく手をやり、私を困った顔で見た。

「課長はやめろ」
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