抱き寄せて、キスをして《短編》
「分かった」

私は身を翻して給湯室を後にした。

これ以上は、考えないでおこう。

仕事に差し支える。

定時までは、仕事、仕事!

私は昼休憩も取らず、一心不乱に働いた。

デスクでお弁当を開いていた菜々子先輩が、

「アンナ、なに?ダイエット?それ以上痩せてどーすんの。ちょっと最近やつれてるよ」

菜々子先輩は、企画部のエースだ。

おまけに気配りが出来て、クライアントからの人気は絶大だ。

「菜々子先輩、ご心配ありがとうございます。今日は定時で上がりたいんで、少し頑張っときます」

「無理しちゃダメだからね」
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