抱き寄せて、キスをして《短編》
『なんで?』

『だって、名前がアンナだよ?英語話せない名前じゃないでしょ』

『はは。なにそれ。別にいいよ』

『わあい!新太大好き!』


カシャンと胸で何かが割れたような気がして、私は思わず顔をあげた。

シンタ ダイスキ!

……もう、笑っちゃう。

笑っちゃうよ、自分の間抜けさに。

私はフフフと声に出して笑った。


『新太、大好き!』


恋愛対象外なんて。

バカだ、私は本当にバカだ。
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