抱き寄せて、キスをして《短編》
新太の何もかもが、好きだったクセに。

新太の事が、好きだったクセに!!

このバカな女は、一体どんな顔をしているのか。

鏡の中の私が、私を見ていた。

瞬間、私はハッとした。

ああ、この顔は。

ああ、この眼は。

私は早足でリビングに入ると、新太の描いたデッサンを広げた。


『 私どうしても先輩に見てもらわなきゃと思って 』

加奈ちゃんの言葉。

今、この意味がやっと分かった。

ごめん、加奈ちゃん。
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