抱き寄せて、キスをして《短編》
私、やっと分かったよ。

情けなくて情けなくて、私は、声をあげて泣いた。

泣きながら、新太の描いた私を見つめた。

新太、これは恋してる私の顔なんだよね。

新太を好きだと、やっと気付いた私の顔にそっくりだよ。

最初にこの画を見た時の違和感は、もうどこにもなかった。

だとしたら……この、恋してる私は、新太の願望?

新太、新太は私を?

私はデッサンを掴むと玄関へと急いだ。

新太に会わなきゃ!

新太に会ってちゃんと話さなきゃ!

「白石」

エントランスを飛び出したところで、三崎課長が私を呼び止めた。
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