抱き寄せて、キスをして《短編》
ああ。新太がそんな風に考えていたなんて。

鼻がツンと痛み、涙が頬を伝った。

「でも、ある日思ったんだ。
いつかアンナに好きな男が出来たら、この関係が終わる。そんなの嫌だ、いつだって俺がアンナの一番でいたいって。だから、別れを告げるしかなかった」

新太は私の唇を見て、チュッとキスをした。

「いつかそうしなきゃならないと感じてたから、加奈には、イトコだって事を内緒にしてもらって、計画を実行したんだ。
第一段階は、加奈に恋人のフリをしてもらって、アンナの反応を見た。アンナが焼きもちを焼いてくれたら、脈ありだと思って」

私は、一心に新太を見つめた。

新太は私の額に自分の額をつけて、しばらく黙り込んだ後、フッと笑った。

「加奈には逐一、アンナの様子をLINEしてもらってたんだ。そんな中、アクシデントが起きたんだけど」
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