抱き寄せて、キスをして《短編》
「アンナ……飯食いに行こ?」

私は、ブンブンと首を横に振った。

「ダメ。こんな泣きはらした顔で出掛けたくない」

新太は、ヨシヨシと言った風に私の頭を撫でて言った。

「じゃあ、食材あるから、俺の家で作る?」

「うん」

「その前に、する?」

私は新太を見つめた。

悪戯っぽい微笑みと甘い瞳。

「新太のバカ」

ハハハと笑って新太は、私を抱き寄せてキスをした。

幸せで幸せで仕方なかった。
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