アイ



「あ‥‥‥‥」



と、声を漏らすと、話しかけてきた彼女から唇の赤色が気付けばモノクロ色になっていた。



「‥‥‥どうしたの?彩ちゃん」



一点を見つめたまま口をかすかに開き微動だにしない私を怪しんだ彼女が、私の焦点に顔を合わせてきた。



「あ!!い、いや!!なんでもないです‥‥」



慌てた私は、片手を顔の前でぶんぶん振りながら早口で喋る。



(なんで、色が抜け落ちたんだろう。太陽のせいかな)



そんなことを思いながら、理由を追求されたらどうしようと彼女の顔を目をぱちぱちしながら手をおろす。



「あはは。彩ちゃん見てるとなんか癒やされるなー」



と、彼女は席に座り直した。



足を見るとさっきまでの太陽の暖かさをわすれてしまっていて、太陽だっていつも出てる訳じゃないし、日射しが当たりやすい席だってずっと熱に溶かされてちゃいけないか、と思い目の前の紙切れに向き直る。



‥‥少し見えた彼女のデッサンも、十分上手かったけど。



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