失い続けて見つけたモノ
先生のウケ狙いだが誰もウケていないのを笑ってる話を流しながら
詩音と喋っていたら
「ねぇ先生ワイシャツのボタンズレてる…」
隣の男子がいきなり話し掛けてきた
「あっ本当だ(笑)」
詩音はまるで友達のように返した
もちろん見知らぬ奴だ
「俺は川崎 昌也って名前だけど?」
よほど私が意味不明といいたげな顔をしていたのだろう
昌也は質問に答えるように言ってきた
「聞いてません」
私は馴れ馴れしいのは大嫌いだから素っ気なく答えた
「悪いけどこの生物はあんまり人になつかなくてね」
まるでペットショップの店員のように詩音が言った
「はははっ(笑)じゃあ、侑と一緒だな」
そういって詩音の隣の男子を指差した
「は?」
侑と呼ばれた男子はいきなり話題を振られて驚いていた
「コイツは杉浦 侑 っていうの♪」
お構いなしに昌也は続ける
「オイ何なんだ…」
まるで寝起きの猫のようにぼやく侑
「よろしくな侑♪」
すでに友達風な詩音
「………」
だんまりな侑
私は面倒だなとほおづえをつきながらそっぽを向いた
「ムカつくなコイツ…」
怒る詩音
「まぁまぁ!みんな友達な♪」
私達の出会いは昌也のペースに飲み込まれていた