イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「やっと起きたか……お前。
いつまで寝ているんだよ?
睦月も寝ているんだから両方運べねーぞ」
先生は、呆れた表情で言ってきた。
「す、すみません……」
あ、あっちが夢か……。
あまりにも現実に出てきそうな出来事だったから
どっちが幻が分からなくなっていた。
周りを見るといつの間にか
マンションの駐車場に着いていた。
車から降りようとドアを開ける。
先生は、早々とこちら側に周り眠っている
睦月君を抱き上げていた。
私は「よいっしょっ……」と
力を入れて立ち上がろうとしたら
「抱っこと荷物があるから手を貸せないが
肩なら貸せる。
俺の肩を掴まえて移動しろ」
そう言ってくれた。
「あ、ありがとうございます」
わざわざ私に気にかけてくれる先生。
本当に優しい。
でも、夢の事を思い出すと
ズキッと胸が痛んだ。
「あと、お前……何で泣いているんだ?
寝ている最中も涙と鼻水が凄かったぞ」
えぇっ!?
慌てて涙と鼻を腕で拭った。
泣いていたなんて……恥ずかしい。
しかも鼻水まで!?
恥ずかしそうにしていると
「泣いている理由は、
あえて聞かないが……笑っていろ。
お前の泣き顔は、似合わん」
先生は、私を見つめながら言ってくれた。
えっ……?
それって……どういう意味?
胸がドクッと高鳴りだした。
「泣くと睦月が不安がるからな。
ガキに泣き顔を見せるんじゃねぇーよ。アホ」
するといつものようにデコピンされる。
い、痛いです……先生。
元の先生だ。
痛かったけど……何だかホッとした。