イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)

意識されたのなら嬉しい事だが
意識し過ぎて気まずくなるのは困るわ。

どうしよう。

不安になりながらソファーの方に行く。
するとデジカメがテーブルに置いてあった。

これは、先生のだ!

そういえば、先生も写していたわ。

あの時…カメラを見ながら
親子みたいだなと言った。

どんな風に写っているのだろうか?

私は、徐にそのデジカメを手に取った。

人の物を勝手に見たらダメだと
分かっているのに覗いてしまう。

画像を見てみると…先生は、
睦月君と私の写真ばかりだった。

「えっ……?」

睦月君は、分かる。
可愛い我が子を撮りたくなるのは当然だ。

しかし、私のは…いつの間に?

一緒に写ってる写真から個人の写真まで
笑顔で写っているのばかりだった。

そして、メリーゴーランドの写真を見つける。

私と睦月君が先生に手を振っている所だった。
睦月君は、無表情だが乗っている姿は、
確かに親子のようだった。

「……これを先生が……」

そう思ったら涙が溢れてきた。
まさに私が理想にしている光景だった。

涙を拭きながら
先生は、これを見てどう思ったのだろう?

親子に見えたとしても
どう感じたのだろうか?

そうしたらパッと
そのデジカメを先生に取り上げられてしまう。

「あ、先生……!?」

「忘れ物を取りに来たら
何勝手に人の物を見ているんだ!?」

そう怒鳴られる。

「す、すみません。
つい……置いてあったので」

「………チッ」

先生は、舌打ちをすると
デジカメを持って出て行こうとする。

あっ!?
行っちゃう……。

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