イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「お姉ちゃんもその写真好きなの。
睦月君と同じだねぇ~」
そう言うと睦月君は、
コクリと頷きまた、写真を見つめる。
睦月君は、どうしてその写真が好きなのだろう?
私と同じで親子みたいに
見えるからだったら嬉しいけど
見つめながら考えていたら
先生が洗濯カゴを抱えて入ってきた。
そして、窓を開けてベランダに出て行く。
洗濯物を干すために。
「先生。私もお手伝いします!」
慌てて立ち上がりひょこひょこと
足を引きずりながらベランダに出た。
「いらん。そんな足で手伝ってもらっても迷惑だ。
それより大人しくしていろ」
先生は、迷惑そうに言いながら
洗濯物を干していた。
でも……。
すると写真を見ていたはずの睦月君は、
駆け寄ってきて洗濯物を取ると
先生に差し出してきた。
先生は、受け取ると干していく。
どうやらお手伝いをしているようだった。
また、1枚手に取ると干していく。
その繰り返し
仲のいい親子の光景に温かい気持ちになっていく。
私は、それをずっと眺めていた。
洗濯物が終わると中に入ってきた。
「お疲れ様です。
洗濯……ありがとうございます」
お礼を言うと何も言わずに
こちらを見ると行ってしまった。
あれ?無視された?
不思議そうに見つめていると
私の服をツンツン引っ張る睦月君。
「うん?どうしたのかな?」
そう尋ねると
「この……写真欲しい」と言ってきた。
えっ?欲しがる写真を見てみると
メリーゴーランドのだった。
それは……さすがに。
「睦月君。ごめんねぇ~これは、
お姉ちゃんのお気に入りだからダメなんだ。
別の写真ではダメ?」
すると首を横に振るう睦月君。