イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
それは、ちょっと……。
「睦月。お前何言ってんだよ?
誕生日は、一生に一度。
自分が生まれた日にしか来ないんだぜ」
拓馬君が代わりに説明してくれた。
「そうなんだ。睦月君は、
1月10日に生まれたからその日が誕生日なの。
だから、その日まで待っててね」
可哀想だけど仕方がない。
すると睦月君は、しゅんと落ち込んだ。
あぁ、可哀想。
私も出来るのなら
そうしてあげたいけど…さすがに無理があるし
「あのね…睦月君」
「あ、小野木さん。いらしてたんですね?」
励まそうとする前に中川先生が来てしまった。
「は、はい。こんにちは」
「こんにちは。今日も睦月君は、
いい子にしていましたよ。
あ、そうだ。睦月君。
お姉さんにお面を見せてあげた?」
中川先生が言うと
思い出したのか慌てて
クラスの中に入って行った。
お面……?
しばらくして
持ってきたお面を見せてくれた。
「今日劇に使うお面を作ったんです。
睦月君は、馬の役なので
お馬さんを作ったんです。ねぇ、睦月君」
中川先生がそう言うと睦月君は、
コクリと頷いた。
なるほど……。