イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「別に謝らなくていい。
ガキ同士の喧嘩だろ。
竜ヶ崎さんのところか…あそこの旦那は、
うるさいからめんどくせーんだよな」
先生は、ため息を吐いた。
「先生は、旦那さんにお会いしたことは?」
「直接会った事は、まだ無い。
まぁ、めんどくせー奴だとは、聞いているが
奥さんの方は、品があるのにな。
雰囲気が少し沙織に似ているし」
そう呟く先生。
雰囲気が先生の奥さんに……似ている?
奥さんの顔を思い出してみる。
確かに……優しくて上品な感じが似ているかも
写真のしか見たことがないけど
そう思ったら胸がズキッと痛みだした。
すると先生は、私の頭を軽く小突いてきた。
「余計な事を考えてるな。アホ」
そう言うと淹れたコーヒーと
ジュースとおやつを睦月君が居る
ソファーに持って行ってしまう。
「あ、待って下さい。先生……」
慌てて先生の後ろを追いかけた。
私の変化に気づかれてしまった……。
先生は、睦月君にプリンが乗せたお皿を
テーブルに置きながら
「で?お前は、どう思ったんだ?睦月。
その茉莉華ちゃんだっけ?
ワガママだと思ったのか?」
そう尋ねていた。
すると首を横に振るう睦月君。
ってことは、ワガママだと思わなかったのかしら?
「……別に興味ない」
キッパリと否定する睦月君。
えっ……!?
それ以前の問題だった。
ワガママとかそういう問題ではなく
茉莉華ちゃん自身に興味がなかったらしい。