イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
そんなある日。
私は、睦月君を迎えに幼稚園に行った。
「今日も拓馬君と茉莉華ちゃんと一緒に遊んだの?」
そう質問すると睦月君は、コクリと頷いた。
「そっか~楽しそうでいいね」
「でもね。途中で拓馬君と茉莉華ちゃん。
喧嘩してたよ!
よくやるんだ……あの2人」
珍しく睦月君の口から教えてくれた。
「そうなんだ……喧嘩しちゃったんだ」
教えてくれた事にも驚いたけど
拓馬君と茉莉華ちゃんの喧嘩にも驚いた。
確かに仲が悪いけど
でも、お互い嫌いってより
素直になれないだけの気がする。
案外……睦月君よりあの2人が
くっついたら面白いのに
なんて……思ってしまった。
するとぴゅ~と寒い風が吹いてきた。
うぅ……寒い。
秋も過ぎて本格的に冬になってきた。
早く帰って温かい飲み物を飲みたい……。
「睦月君。早く帰ってホットココア飲もうね」
そう言うと睦月君は、
ピタッと立ち止まってしまう。
睦月君……?
「どうしたの?」
不思議そうに尋ねると
前を見ろと指を指してきた。
えっ?前を見ると
電柱の下で段ボールが置かれていた。
しかも小さな声で
ニャーニャーと鳴き声が聞こえてきた。
猫……?
私と睦月君は、不思議そうに
段ボールを覗き込んだ。
中には、汚れているけど
毛並みが真っ白な子猫が入っていた。
「か、可愛い~捨て猫かしら?」
こんな可愛い子猫を捨てるなんて
酷い人がいるものだ。
睦月君は、その子猫の頭を撫でてあげていた。
すると「ニャー」と鳴いた。