イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)

いくら白雪のためだとはいえ
こんな所で死ぬなんて情けない。

せめて先生に……好きになってもらいたかったな。

そう思うと涙が出てきた。

「大丈夫。あなたは、まだ死んでなんかいないわ」

誰かが私の前に現れた。

誰……?

顔を上げて見てみると
意外な人物だった。

あなたは……。

「沙織さん……?」

「まぁ、私の名前を知っていてくれてるのね。
嬉しいわ」

ニコッと微笑んでいた。

何で……?
目の前に沙織さんが?

写真でしか見た事がないけど
間違いなく沙織さんだわ。

私が死んだから見えるようになったの?

混乱する頭の中
しかし沙織さんは、クスクスと笑う。

あぁ、間近で見たらなんて
綺麗な人なのだろうか。

笑い方も上品で、確かに茉莉華ちゃんのママに
雰囲気が似ている。

「ここは、現世とあの世の狭間よ。
あなたは、事故に遭って
ここに迷い込んでしまったのね」

「えっ?現世とあの世の狭間?
じゃあ、私死んでしまったのですか!?」

どうしよう。まだ死にたくない。

「フフッ…大丈夫よ。
まだあなたは、死んでなんかいないわ。
それを止めるために私が来たの。
あなたに死んでほしくないから」

沙織さんは、そう言ってきた。

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