イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
私ならショックで耐えられないだろう。
考えただけでも辛くなるから
しかし沙織さんは、
「うーん。確かに辛くないと言ったら
嘘になるかしらね。
でも私は、真夜と睦月の笑顔を守りたい。
真夜……あの人は、苦しみを1人で
背負い込む所があるから
支えてあげられる人が必要なのよ」
「だけど、その私は…もう死んでいる。
だったら、私の役割を誰かに受け継いで欲しい。
あの人の笑顔を守りたいから」
そう話す沙織さん。
この人は、なんて優しい人なのだろう。
自分の事より先生の気持ちを考えている。
大切に想っているのだと分かった。
あぁ、想い合っているんだ。
死んでも……なおお互いを……。
胸がギュッと締め付けられ苦しくなった。
敵わない……私なんかでは。
すると沙織さんは、クスッと微笑んだ。
「でも、悪い女だったら絶対反対していたわ。
だから、あの人が…涼花さんに惹かれてると
気づいた時…嬉しかったの。
この人なら任せられると思っていたから」
えっ!?
「わ、私がですか!!?
とんでもないです。
こんなドジで迷惑ばかりやっている私が
先生に相応しいなんて…」
沙織さんのようにはなれない。
「あら、そんな事ないわよ。
あなたは、失敗しても前向きに
頑張ってくれてるじゃない。それに
睦月を自分の子供ように接してくれている。
あの子……勘のいい子だから
あなたが母親になってくれるって
ちゃんと分かっているわ。
それだけではない。
あんなに懐いているのは、あなたの人柄だからよ!」
「真夜だってそう。
何度も失敗してもひた向きで真っ直ぐな
涼花さんだからこそ
真夜は、閉じていた心を
また開こうとする事が出来た。
これからも、支えてあげて。
不器用な人だから喧嘩も多いかもしれないけど……」