イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「沙織さん……」
そうしたら微かに声が聞こえてくる。
『涼花。目を覚ませ涼花か!!』
先生の……声?
「あら、呼んでいるわ。あの人が……。
そろそろお別れの時間ね。涼花さん
睦月をよろしくお願いしますね。
これからも息子のように愛してあげて」
「そして真夜を……あの人の……笑顔を守ってあげて
私の分まで……ずっと……一緒に…」
沙織さん…!?
ハッと目を覚ました。
知らない天井が見えた。
ここは……病院?
身体中が痛いし、何だか重い。
酸素マスクを外しムクッと起き上がると
睦月君が布団にへばりついていた。
「睦月君……」
「…………。」
言葉にならないのか硬直している睦月君。
私は、ニコッと微笑んでみせる。
すると私の飛び付くように抱きついてきた。
そしてギュッとしがみついている。
温かい……生きてたんだ?私……。