イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
沙織さんが助けてくれたんだ。
私もギュッと抱き締め返した。
すると
「……お姉……ちゃん……」
涙声になりながら私の名前を呼ぶ睦月君。
覗くとポロポロと涙を流していた。
睦月君……胸が苦しくなり
もう一度ギュッと抱き締めた。
するとドアが開き先生が入ってきた。
「……涼花……!?」
驚いた表情していた。
「……先生……」
先生の名前を呼んだ。
そうしたらガバッと睦月君ごと抱き締めてくる。
「馬鹿野郎。心配させやがって……。
お陰で寿命が縮んでしまったじゃねぇーか」
そう言いながら
温かい……。
生きているのだと実感する。
涙が出るほど、嬉しさが込み上げてきた。
しかしすぐにハッとする。
「そうだ。白雪は?
白雪は、無事なんですか!?」
私は、必死に質問する。
「……白雪。無事だよ」
間に挟まっていた睦月君がそう言ってきた。
「あぁ、無事だ。
さすがに病院に連れて行けないから
家で留守番させているが……ったく
アイツを助けるために車の前に飛び出すとか
アホな事をしているんじゃねぇ-よ!
死ぬ所だったんだぞ。
生きてたからいいものの……」
「もし沙織のように死んだら
許せねぇーからな!?」
怒鳴るように説教してくる先生。
しかしその表情は、今にも
泣きそうなぐらい切なそうだった。
沙織さんの言葉を思い出した。
私も……先生に笑って欲しい。
これからもずっと…。