イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「………。」
これ以上何も言えない自分が悔しい。
確かに私は、先輩としたら
情けないだけかも知れない。
後輩の雪城さんに仕事でも家事でも
敵わないだけではなく
居場所を取られてしまうように感じた。
もしかして……私って必要のない存在なの?
会社でも……先生達にも
さすがに落ち込んでしまった。
何とか仕事を終わらして帰ると
すでに21時過ぎてしまう。
あぁ睦月君は、寝ちゃってるわね。
最近……朝ぐらいしか睦月君とまともに
顔を見ていない気がする。
リビングに行くとハァッ……とため息を吐いた。
「随分と遅かったな?」
えっ?
振り向くと先生だった。
「あ、すみません。ただ今戻りました。
ちょっと最近。
雑用などの仕事が忙しくて」
申し訳ない気持ちになってしまう。
すると先生は、私に近付き頬に触れてきた。
ドキッと心臓が高鳴る。
「顔色が悪いな……?
ちゃんと食べているのか?」
えっ……?
思わずパッとそっぽを向いてしまった。
「だ、大丈夫です」
どうしよう。
顔がまともに見えない。