イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「どうしたんだ?それに
あまり遅くなるなよ?
夜も遅いし。
睦月もギリギリまでお前が帰って来るのを
待っていたんだぞ。
雪城も言っていたが、いくら
張り切ってるからって
仕事を抱え込み過ぎだ」
「大丈夫だって言っているではないですか!!」
先生が私のことを心配してくれるのは、
分かっている。
分かっているのに……。
雪城さんの名前が出たら
思わずカッとなって言い返してしまった。
ハッとなった時は、すでに遅かった。
静まり返る。
「そうか……悪かったな」
違う。私は、そんなことを言いたい訳ではない。
これでは、ただの八つ当たりだ。
不安や焦りで涙が溢れてくる。
「涼花……?」
私は、恥ずかしくなり
そのままリビングから飛び出してしまう。
外に出ると走って逃げ出してしまった。
エレベーターまで我慢が出来なかったため
階段で一気におりる。
だが、途中で涙が溢れて止まってしまった。
今までの我慢が溢れてしまったのだろう。
どうしよう……先生。
きっと呆れているか怒っているだろう。
こんな情けない編集者なんて
いらないと思われちゃう。
しばらく泣いた後。
私は、あるところに電話した。
『何?どうしたの?
こんな時間に……』
親友の梨子が電話に出てくれた。