イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)

見て覚えたって……えぇっ!?

睦月君って、どれだけ記憶力がいいの?

「でも、どうしてそんなことをしたの?」

睦月君が自ら迷子にでも
なったかのような行動だし。

まさか、わざと……?

すると睦月君は、

「だって、迷子になったらお姉ちゃん。
絶対に捜しに来てくれるでしょ?」

そう言ってきた。

睦月君……!?

「本当は、お姉ちゃんの行きそうな場所に
行きたかったけど場所知らないし。
だから迷子になって電話したら
来てくれると思ったの。
家だとパパやあの嫌なお姉ちゃんが居るから
お姉ちゃん遠慮しちゃうもんね」

「今日もね。迎えに来てあの嫌なお姉ちゃんが
お姉ちゃんがしばらく休んで来ないとか
私の方がいいでしょ?とか言うから
僕ね。嫌だから逃げ出したの。
迷子を決意したのもそのとき。
お姉ちゃんは、僕が守るからね!」

長く話すのが極端に嫌う睦月君が
一生懸命に説明してくれた。

どれも小さいながらも私を守ろうとしてるのが
分かり涙が出るぐらい嬉しかった。

「ありがとう……睦月君……」

私は、ギュッと抱き締めて泣いてしまう。

まさに小さな王子様だった。

その時だった。

「睦月。そこに居るか!!?」

先生が息を切らしながら交番に入ってきた。

せ、先生!!?

< 249 / 257 >

この作品をシェア

pagetop