イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)

「あらあら。どうしたの?
恥ずかしくなっちゃったのかしら」

お母さんがそう言うと
ひょっこりと顔を出して

「…藤崎睦月です。4歳です」

自己紹介を始めた。

あ、挨拶をしたわ!?

「あら?ちゃんと自己紹介が出来て偉いわねぇー。
そう。よろしくね」

お母さんは、機嫌良くなったのか
ニコニコしながら言った。

すると先生もリビングから出てきた。

「あ、先生。
母を連れて来ました!」

するとお母さんは、驚いた表情をしていた。

「えっ……?
この人が、本当に蓮見先生なの?」

おそらく想像していた人と違ったのだろう。
無理もない。

私も最初に見て驚いたもの。

先生は、外見だと…どう見てもロック系。
小説家には、まったく見えない。

「はじめまして。藤崎真夜です。
蓮見真夜として小説を書いている者で
その縁で、そちらの涼花さんに編集者として
お世話になっています」

先生が丁重に挨拶をしてくれた。

丁重に私の事を言われると不思議な気分だわ。

何だかくすぐったい。
お母さんも慌てたように頭を下げていた。

「あ、こちらこそ。小野木涼花の母です。
娘が大変お世話になって申し訳ありません」

「いえ。娘さんは、よくやってくれていますよ。
息子も懐いてくれて、とても助かっています!」

ニコッと笑顔で褒めてくれる。

先生が私を褒めてくれた事は一度もない。

しかも、こんなに愛想を振りまく
先生は、見たことがない。

驚いて仕方がなかった。

どうしてしまったのだろうか?

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