イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)

「えぇ。俺も前に睦月が話すのが
普通の子より遅いので
気になり健診の時に相談して
専門医に診てもらったら正常だと言われました。
言っている事もきちんと理解しているし
幼児用の知能テストをさせたら
満点だったらしいです」

「幼稚園に上がる前に特訓させようとしたら
それが、かなりストレスになり
何度か熱を出してしまって。
それもありコイツには、あまり会話を
させないようにしているんですよ。
さすがに挨拶と礼は、言わしてますが…」

なるほど…だから
先生は、睦月君が熱を出しても
あんなに冷静だったのか。

睦月君にそんな過去があったなんて…。

「でも、それだと日常生活で大変じゃない?
会話が出来ないと友達作りにも
影響が出るでしように」

「お母さん!?」

さっきから睦月君の事ばかり。
いくら気になるからって失礼だと思う。

「俺も気になっていましたが
その心配は、いりませんでした。
睦月の性格を理解してくれる
いい友人に巡り会えた。
周りも協力してくれるので助かっています」

先生がそう言って対応してくれた。

その友人は、金本拓馬君の事だろう。
少し生意気な部分は、あるが友達思いの素直な子だ。

「……そう。それならいいのだけど」

まだ何か言いたげなお母さん。
どうやらこの親子の事が気になるらしい。

私が関係してるから……申し訳ない。

そう思っていたらお母さんの横に
座っていたはずの睦月君が
私に絵本を差し出してきた。

あ、そういえば
読んであげるはずだったわね。

ちょっと…読む気分ではないけど仕方がない。

私は、隣のソファーに座り
読むスタンバイをすると睦月君は、
私のお膝に座った。

「えっと、読むのは…桃太郎ね。
むかし、むかし。あるところに…」

少しずつ丁重に朗読して行くと
睦月君は、夢中で聞いてくれた。

全部読み終わると拍手をしてくれる。

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