イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)

ハッと前を見るとお母さんは、
ジッと私の方を見ていた。

先生は、お茶を黙って飲んでいた。
よく考えるとかなり恥ずかしい状況だわ。

恥ずかしくなっているとお母さんが

「睦月君は、随分とあなたに懐いているのね。
さっきも帰って来るとすぐに駆け寄って来たり
甘えるように後ろに隠れていたものね」と言ってきた。

えっ?

確かに…懐いてくれてるけど

すると睦月君は、こちらを見ながら
絵本をバンバンと軽く叩いてきた。

「えっ?もしかして
もう1回読んで欲しいのかな?」

要求しているように見えたので
そう尋ねてみるとコクリと頷く睦月君。

どうやら当たったらしい。

「はいはい。じゃあ、もう1回だけね?」

私は、絵本を広げて
もう一度最初から読み直した。
 
読みながらフッと思った。

もしかして後ろに隠れたのって
恥ずかしさとか、お母さんが
怖かったとかではなくて…甘えん坊のアピール?
自分は、私に懐いているのだぞって
見せつけるためにわざとやってくれたとか

いくら何でも考え過ぎかしら?4歳児だし

しかし今まで睦月君は、
4歳児だと思えない行動をしてきた。

勘が鋭く私の気持ちを察してくれる。

だから、もしかしてと思ってしまう。

読み終わると睦月君は、また拍手をしてくれた。
そうしたら先生が立ち上がる。

「じゃあ、そろそろ夕飯の支度でもするか」

そう言いながら

あ、私も…手伝わなくちゃあ!?

するとお母さんが

「あの…もしよろしければ、
私にやらして頂けないでしょうか?」

自分から申し出てきた。

えぇっ!?

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