イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「上手、上手。睦月君。
上手に潰れているわよ」
褒めるとさらに一生懸命に潰してくれた。
フフッ…その姿も可愛らしい。
「涼花。潰すのは、いいけど
材料を入れるのを忘れないでよ?
あと塩とコショウも」
お母さんがそう言われる。
「あ、はーい。」
おっといけない。
こっちに夢中で忘れていたわ。
私は、慌てて材料の準備した。
作るのは、コロッケ。
用意をした材料を入れて混ぜ合わせる。
睦月君も混ぜるのを手伝ってくれた。
小さな手でこねこねしてくれる。
そして出来上がったコロッケは、
美味しそうだ。
揚げたのは、お母さんだけど
「先生。今日のコロッケは、
睦月君も手伝ってくれたんですよ」
私は、先生に出来上がった
コロッケを乗せた皿を見せた。
「ほう。睦月がか……」
「はい。一緒にジャガイモを潰したり
混ぜたりしてくれたんですよ。
美味しそうですよねぇ~ぜひ食べて下さい」
ニコニコしながら差し出した。
先生は、徐に小皿にコロッケを移してくれた。
睦月君は、ジッとその姿を見ている。
ドキドキと心臓が高鳴った。
私も先生の味の感想が気になる。
「……見るな。食べにくいから」
「あ、すみません。」
申し訳なさそうに後ろに引っ込める。
すると先生は、コロッケを一口食べた。
サクッといい音がする。
「うむ。なかなか旨いな」