イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
「あらあら、仲がいいこと。
あ、そうだわ。
言いそびれる前に伝えておくわ。
明日帰る事にしたから」
「えっ?もう帰ちゃうの?
明日も泊まっていけばいいのに…」
あと1泊しても先生は、許してくれるだろう。
しかしお母さんは、
「さすがに迷惑は、かけられないわ。
それに手続きは、もう済んだし
お父さんが向こうで待っているから
早く帰らなくちゃあ…」
そう言ってくる。
確かに…早く帰らないとお父さんが困るだろう。
そうか、明日で帰っちゃうのか。
何だか残念な気持ちになる。
「……おばちゃん。もう帰っちゃうの?」
睦月君が不思議そうに首を傾げた。
「えぇ、明日でバイバイね。
でも、また会えるわ。
来年にでも日本に戻ってくるから
そうしたら家にも、遊びにいらっしゃい」
お母さんがニコッと笑顔で言うと
睦月君は、コクリと頷いた。
来年…日本に戻ってくるのか。
その時には、お父さんにも紹介したいな。
先生は、嫌がりそう。
あ、その前にお父さんがショックを受けるかしら?
そしてお母さんは、翌朝
海外の方に戻る事になってしまった。
空港まで送って行く。
「じゃあ、行くけど…涼花。
迷惑をかけずにちゃんと編集者として
仕事をするのよ?
蓮見先生も…娘が迷惑をおかけしてすみません。
不束な娘ですが…これからも
よろしくお願い致します」
深々と頭を下げて先生に挨拶した。
「いえ、こちらこそ。よろしくお願いします。
気をつけて帰って下さい」
先生も空港まで車を走らせ送ってくれた。
「はい。じゃあ、またね。睦月君。
それでは、失礼致します」
お母さんは、もう一度頭を下げると行ってしまった。
睦月君は、小さく手を振っていた。