イクメン作家と恋心。初期版2巻(修正済み)
すると睦月君は、私に向かって
「大人って……デリカシーないよね」
そう呟いてきた。
えっ!?
私は、驚いて唖然としてしまう。
まさか、睦月君の口から
デリカシーという言葉が出てくるとは、
思わなかったから
確かに……デリカシーって言ったわよね?
聞き間違い…ではないわよね?
「そ、そうね……」
どう返事を返せばいいか悩んでしまう。
すると着替え終わった睦月君は、
部屋から出て行ってしまった。
あっ!?
私も慌てて追いかける。
睦月君は、濡れた服を洗濯機に放り込むと
リビングの方に歩き出した。
だが、途中Uターンしてしまう。
えぇっ!?
「どうしたの?睦月君…入らないの?」
目の前にドアがあるのに
どうしたのだろうか?
睦月君は、ジタバタと押してきた。
ちょっ…えぇっ!??
「どうしたの…今度は…」
そう聞こうとしたらリビングの方から
話し声が聞こえてきた。
先生と浜野さんの声が…。
「睦月はさ。沙織ちゃんのこと覚えてないから
ついでに聞かしてやろうと思ったんだぜ?
いい機会だと思ったからさ。なのに怒るし…」
えっ…?
丁度先生と浜野さんが奥さんの事で
話している最中だった。
私は、驚いて立ち止まった。
「お前なぁ…そういうのは、
時期を見て俺が話すからいいんだよ!
余計な事はするな」
「え~何で?そもそも藤崎が
まともに話せるのかよ?
絶対途中で照れてやめるだろ。
話すならバレンタイン事件とか話せよ?」
「なっ!お前…まだ覚えているのかよ!?」
先生は、慌てたように声に出した。