ためいきのセレナーデ
それから次の日、テフロンの卵焼き器と卵を買い込み特訓をして、テフロンでも焼けるように備えました。

負けず嫌いの完璧主義です。

その夜、また卵焼きのオーダーが入りました。

ニヤリと笑い、私はバッチリの卵焼きを焼きました。

『アラッ?
今日は綺麗に焼けてるじゃない!』

おかげで気持ち良く仕事が出来ました。

次々とオーダーが入ります。

また卵焼きを焼こうとしていた時、ママが入って来てこう言いました。

『優ちゃん。
いちいち洗わなくていいんだって』

ママは卵焼き器を台拭き用の雑巾で拭きました。

『油だってね、暑いからどうせダメになってるんだし、私達は食べるフリして、ねだるだけねだって、いただきま~すってゴミ箱へ捨てたらいいの。

はい、このまま次の焼いて』

本気ですか。

お客さんが可哀想でした。

お店の卵焼きって。
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