ためいきのセレナーデ

夜明け前

店がハネて、閉店時間が早い店から回る。

その頃遊んでた店は6時閉店。

午前5時55分。

バタバタ……

「シゲちゃん~!」

『いらっしゃいませ~』

アッキーがオシボリをくれる。

『ちょっと、ユーコちゃん!
今日は来ないと思ったらまた来た!

来るのはいいけど、頼むからもっと早く来てよ~!

閉店5分前はやめてよ~!』

マスターが笑う。

「だってこの時間になるとサミしくなるんやもん!
ねぇ~もうちょっとだけぇ~お願い」

次の日、

「だって~寄らずに帰ろうと思うのに、やっぱりこの時間になると、シゲちゃんのアレが恋しくなるんやもん」

『ユーコちゃんも好きやねぇ』

「ね~アレ、シゲちゃん……いつものアレ、お願い。一回だけ」

『しゃ~ないなぁ、一回だけね。
アッキー、先あがってええぞ』

「うん!ありがとう!」

ほの青い硝子窓の横、店にはシゲちゃんと私の二人だけになる。


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