ためいきのセレナーデ
サイレンかすかに……

シゲちゃんが歌い出す。

私は夜明け前の時刻に、シゲちゃんが歌ってくれる、シゲちゃんが歌うこの歌が好きなのだ。

胸が熱くなる。

言葉は~い~らないけど~
ぬくもりなら~

シゲちゃんよ、ありがとう。

いつも悪いね~

『ユーコちゃんもラスソン!』

じゃあ私もアレにするね。

シゲちゃんが入れてくれる。

もちろん入れてくれるのは曲だ。

私とシゲちゃんはソウルで感じあってる。

体の繋がりは必要ない。

夢だけみてる~
そんな目してる……

何故か毎日少しだけ涙を流して、シゲちゃんは見ないフリしてくれる。

黙って笑ってくれる。

私に会ったら~
この次会ったら~
何にも言わず……
抱きしめて

と、私も夜明け前になるとこれが歌いたくなるのだ。

私にドクターストップがかかってからは、いくらいいよって言ってもオレンジジュースしか飲ませてくれなかった。

優しい人、Kちゃんの好きなシゲちゃんは結婚してた。

私が新しい店でイジメにあうとアッキーと二人、

『あのなぁ~!
ユーコちゃんは男が守ってやりたくなるタイプやから、男がほっとかんのよ~、で、女から妬かれるんや~』

と、慰めてくれた。

アッキーも今は立派なマスター。

会いたいなぁ。


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