〜愛が届かない〜
深くなっていくキス
ここがどこだかわかっているけど、火がついた欲望は止められない。
もっと
ねぇ…もっと
身体をすり寄せ彼にまたがる私。
ここで貫いて欲しいと願うほど最後の夜は私を淫らにする。
だけど…彼は憎らしほど冷静なのか
唇を離してしまう。
「…やだ。やめないで」
私を抱きしめ首筋にかかる熱い吐息にゾクッと背筋が戦慄く。
「ここじゃ、無理だ。ホテルに行くぞ」
彼もギリギリのとこで自制心と戦っていたのかと思うと嬉しくて彼に言われるまま足早に店を出て車に乗り込む。
走る車は、偶然にも最初の夜に入ったホテル。
そして…選んだ部屋もあの日と同じ。
偶然が偶然を呼ぶのかもしれない。
部屋に入るなり、言葉もなく唇を重ね、お互い服を脱ぎながらキスを続ける。
キスをしたまま下着姿の私を抱き抱え、ベットの上に倒れると身体中を這う唇と手のひらは、いつも以上にねっとりと時間をかけるから焦れて気がおかしくなる。
「ねぇ…ぁッ……焦らさないで……やぁ…んッ……」
「……かえで…もっとだ。もっと俺に狂え…………」
「……ダ…メ……もう…ダメなの」
甘く叫ぶ声
何がダメなのか⁈
彼に抱かれ、早くひとつになりたいのか⁈
それとも、彼に狂うことを拒絶しているのか⁈
「ダメじゃない……」
「あっ……」
彼が私の中に入ってくる。
待ち焦がれた瞬間に、涙が流れ目尻を伝いシーツを濡らす。
「今日のかえでは、泣き虫だな…かわいいよ。……もっと鳴いてかわいい声を聞かせて」
そう言うと私の身体を何度も貫き、その度に涙を流す。
その涙はいろいろな感情が入り混じり、
止まることを知らない。
「かえで…かえで」
何度も私を呼ぶ色気を帯びた声に、心の奥で…
(好き…好き…愛してる)
と叫ぶ。
「……みぞ…ぐちさん」
イく瞬間、手を伸ばし彼の頬に手を添え、私を見つめるその瞳を目に焼きつけようと潤んだ目を見開き見つめる。
頬に添えた手をとり、私の手にくちづける男。
「……かえで…俺の名前を呼んで」
躊躇しながらも
「………こ…う…へい」
「やばい……もっと早く呼ばせればよかった」
「……あっ……んっ………ッ」
深いキスをして、首すじに落ちる唇が強く首すじに吸いついた。
始めてつける痕に戸惑いながらも、彼が動きを早め高みを目指すから、足の指を曲げ彼にすがりつき一緒に意識を飛ばした。