〜愛が届かない〜
今までの時間を埋めるように
愛を囁き
名を呼び合い
恋人同士として高みを目指す。
「…こうへい……愛してる」
「愛してる…かえで…離さないからな」
指を絡ませぎゅっと握り、始めて意識を失った。
愛されている喜びに幸せを感じ
体も心にも足枷がないから
欲望に溺れれる。
どれだけ意識を失っていたのかわからないけど…
窓から朝日が差し込み、目を細める。
愛しい人に抱きしめられ目覚める朝に頬を染め、彼の温もりを感じたくてすり寄る。
すると、寝ぼけながらも
「かえで…寒いのか⁈」
と言ってぎゅっと抱きしめてくれる。
夢じゃない…
彼の唇に目覚めのキスをする。
「おはよう」
「…んっ、おはよう」
「…晃平、今日は仕事でしょう⁈」
「あぁ……時間まで、このまま楓を抱きしめて寝たい……」
すぐに寝落ちする男。
抱き枕じゃないのに……
頬を膨らませながらも幸せを感じ、彼が寝坊しないように枕元の目覚ましをセットして私も彼を抱きしめ、もう一度眠った。
ーーーーーー
ーーー
目覚ましが鳴り響き、2人は同時に目覚める。
晃平がシャワーを浴びている間に、冷蔵庫の中を物色。
卵とウインナー、後はビールの缶しかない。
どんな食生活をしているのか心配しつつ、トーストを焼いている間に卵で目玉焼きとウインナーを焼き、インスタントコーヒーを入れた。
ちょうど、シャワーを終え下はスウェットに、上は裸で濡れた髪をタオルで拭きながら出てきた。
引き締まった体
細く見えてがっしりしている彼の体
見慣れた裸なのに、恋人として陽の下で見ると目のやり場に困る。
私の反応に気づき意地悪く笑う彼
わざと抱きしめて密着してくる。
「…早くしないと遅刻だよ」
どこを見ていいのかわからず目が踊る。
「……かえで」
耳元で甘い声で囁く。
「真っ赤になってかわいい」
チュッと耳にキスをして彼はテーブルについた。
彼女になれて嬉しいけど…
こんなこと続いたら心臓がもたない。
ドキドキしている間に、食事を終えた晃平はスーツに着替え髪を整えている。
彼氏として改めて見ると
キュンキュンと胸が高鳴る。
こんな素敵な人が私の彼だなんて…
夢みたい…
頬をつねり、彼を見ても幻じゃない。
私の行動が面白かったのか晃平は、クスクスと笑い
「夢じゃないぞ…」
頭を撫でおでこにチュッとキスとして微笑むから…