〜愛が届かない〜
エピローグ

【コンフォルト】

柚月達とのダブルデートは彼らの仕事上難しいということで、こうして4人で飲みに来ている。

目の前に座るカップルは、相変わらず仲が良く微笑ましい。

その真向かいに座る私と晃平も今じゃ、2人に負けていないと思う。

「その右手のリング…おそろいだよね」

目ざとく見つける悠さん。

「あぁ…」

晃平が面倒くさそうに答える。

それを見て、悠さんが何かを企んだように微笑み…視線は、私に向け語るように話し出した。

「おそろいと言えば……つい、数週間前に好きな子との記念日をどうしようか悩んでいた人がいてね…それで、俺に何かサプライズをしたいって相談してきたんだった。その子とデートらしい事もしたことがないって言うから彼女の行きたいとこへ連れて行ってあげたらどうってアドバイスしたんだよ。女の子ならショッピングに行っておそろいの物を買うのが好きですよって…」

頭の中に引っかかっていた晃平の言葉を思い出し、ここで話しが繋がった。

「そうなんですか⁈」

前カノとかが買い物好きなのかと思ってずっと聞き出せなかったのよね。

「それでね…サプライズプレゼントにおそろいの物をって思いついたとはいいけど…何にしたら彼女が喜んでくれるか悩んでいてね…自分は、付き合ってるつもりらしいんだけど、彼女の方は違うみたいでさ…だから、とりあえず指輪とかはやめたほうがいいってアドバイスしたつもりなんだけとね…彼は、何をあげたんだと思う⁈」

まったく悠さんたら
わかっているくせに意味深に話して晃平をからかってるのね。

「なんでしょうね…私は、おそろいのリングをもらいましたけど…すごく嬉しかったですよ」

「へぇ〜、溝口さんからのプレゼントだったんだ⁈」

しまった…悠さんにやられた。
晃平は、横で舌打ちして悠さんを睨んでいる。

でも、そんなの怖くないと話を続ける。

「もしかして、2人って付き合ってるの⁈」

前の私ならなんて答えてたかな⁈

「…そう『付き合ってるよ。1年前から…その記念にプレゼントしたんだよ。そのナヨナヨした奴に言っておけ…ちゃんと言葉にしないと伝わらないってな』」

開きなおった晃平を見て大笑いする悠さん。

「そうですね…他の男に嫉妬していないで愛してるって言葉にしないと思いは届きませんよって伝えます」

勝ち誇る悠さんに苦虫を喰う晃平。
だけど…

「そうだな…言葉にしないとな。楓…お前に1年分の俺の思いをじっくりとベッドの中で教えてやるから今すぐ帰るぞ」

彼に腕を掴まれ
あの日と逆の立場で追い払われ
柚月と悠さんに見送られた。

愛してるをどれだけ言っても足りないといい…今日も彼は愛してるって囁く。
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