〜愛が届かない〜
彼女に言えない男の言い分
俺は、まともな恋なんてしたことがない
いつも、その場限りの恋愛を楽しむ。
愛してるとか
好きだとか
そんなの思った事もなかった。
そんな俺を変えた女が楓
夕暮れどきに、ショーウィンドウの外を歩く2人組の女。
かわいい顔をしたオレ好みの女とウインドウ越しにに出会った時、惹きつけられるように見惚れていた。
山城の知り合いらしく、彼女がこちらを見て笑顔を見せる。
俺が笑顔で手を振れば、たいていの女は頬を染めるのにの…彼女は、照れもせずに笑顔で振り返してきた。
俺は、いつもと違う反応に戸惑っていた。
次の出会いはすぐにやってきて…
山城が悪だくみした表情で戻ってきたから…つい、口に出していた。
『お前、悪い顔しているぞ』
『溝口さん連れて行くって約束で彼女らと今から飲みに行くんで…』
『フン…どうせ途中彼女と消えて手を振っていた彼女を俺が面倒見るんだろう⁈』
『お願いします』
お前、俺がどんな男か知っていて頼むんだよな⁈
まぁ、それなら楽しませてもらうさ。
待ち合わせのお店に行けば、彼女らが話しこんでいた。
俺たちにすぐに気づき微笑む。
また、あの笑顔だ…胸の奥が騒つく。
俺を見つめ可愛らしく微笑む笑顔……
普通の男ならその笑顔で堕ちるんだろうが、俺には通用しないと言い聞かせている自分がいる。
会話して行くうちに気づいた。
この女は、計算尽くで行動している。
男に合わせ、男がほしいと思う言葉を選び、その場の恋愛を楽しむタイプの女だと確信する…俺と同じタイプの女だ。
俺が仕掛けても普通に振る舞っている様子に男のプライドが傷ついていた。
だけど…意外に息が合う。
そう…彼女と視線を合わせれば会話が成り立ち、彼女の考えが読み取れる。
こんな女、初めてだ…
今までと違うタイプの女
一緒にいて楽しいと思う女に初めて出会った。
彼女との駆け引きが面白い。
こんなにワクワクするのは、いつ以来だろう⁈
ある程度、食事が終わると目の前でいちゃついてた山城が帰るといい彼女を連れて帰って行った。
2人きりになり彼女の出方を伺う。
「さて、俺たちはどうする⁈」
「とりあえず、ピザを食べたいんで手を離してくれませんか⁈」
フッ…マジ、面白い女。
こんな反応したのはお前が初めてだよ。
それからしばらくは、世間話なんかをして会話を頼んでいた。
俺が28だと聞いて見えないと驚いていたが、その後は、俺の事にふれようとしてこない。
俺は、彼女のタイプじゃなかったのか⁈
なぜか、傷ついている俺がいた。