〜愛が届かない〜
こんな女初めてだ…
また、彼女に会いたいと思うほどに夢中になっていた。
彼女から電話番号を聞いたのはいいが、自分から連絡する勇気もなく、彼女が俺の電話番号を聞いてこなかったのも気になっていた。
そんな時に、ある店で彼女を見つけた。
合コンなのだろう…俺も合コンに来ていたし、恋人同士でもないから怒るわけにもいかない。
他の女だったならこんなにイラついていないだろう…
彼女だからだ。
俺にも気づかずに自分を偽って男と楽しそうに話している姿に腹立たしさを感じ、彼女が媚びる男に嫉妬もしていた。
席を外す彼女を追いかけトイレの前で出てくるのを待ち腕を掴んだ。
「他の男に媚びていて楽しいか?」
腹立たしさをぶつける。
なのに…
「お久しぶりです。私のこと覚えていてくれたんですね」
動揺もせず、嫌味まで言う始末だ。
逃げないように腕を掴んだまま、彼女の連れに彼女の荷物を持ってきてもらう。
頭にきている俺には、何か叫んでいる彼女の声も耳に入ってこない。
ラブホテルの入り口で足を止め踏ん張る彼女。
「……かえで、来いよ」
頬を染め、俺の腕の中に飛び込んできた彼女を抱きしめ、部屋に入るとキスで腹立たしさをぶつける。
彼女の服を脱がしながら独占欲を言葉にする。
「お前って男に媚びるような性格じゃないだろう⁈もう、2度とあんな真似するな」
俺に芽生える彼女への愛情。
こんなはずじゃなかったのに…
毎日、
会いたくて
彼女に触れたくて
彼女の声が聞きたくて
だけど、
それを認めれない俺がいて…
なかなか連絡をとれないでいた。
ギリギリまで我慢して会いたくなると連絡する。
そんな繰り返しだった。
俺の前で
俺だけに見せる笑顔
俺を見て頬を染める顔
俺に話しかける甘える声
腕の中で
俺を感じている彼女
彼女の甘い吐息
彼女の声
全てが愛しいと気づいた時…
偶然、聞いてしまった。
山城の女と話している彼女から…
俺たちはセフレの関係だと言った事にがく然とする…そう思われても仕方なかったからだ。
だから、その日は彼女に触れずにタクシーに乗せ1人て帰した。
だが、その日から彼女と連絡がつかないのに…飲みに行く先で男といる彼女の姿をよく見かけるようになった。
いらだちながらも、彼氏でもない俺が口出しできる訳じゃないからと遠くから見つめるだけ…
彼女に、俺以外の男が触れていると考えるだけで嫉妬する。