*°春夏タチバナ*°




秋くんが居そうなところなんて思いつかないけど

適当にブラブラと歩いていると、海辺のところに寝転がっているのが見えた











「秋くんっ
急にいなくなるからびっくりしたよ〜
そこで寝転がったら汚れちゃうよ?」











私がきっと星空でいっぱいだったであろう秋くんの視界を遮って話しかけると
驚いたように目を丸くしてクスッと笑ってくれた











「星が綺麗だなって思って見たくなったんだ〜
汚れるのはいいさ、お風呂入るから」





「確かに、綺麗だね♪」











立ったまま見上げると遮るものが何もなくて、綺麗な夜空が広がっている





秋くんと夜の海辺に2人きり…


そんな状況だって意識したらとてもドキドキしてくる






このシチュエーションなら少しは思ってること聞けそう…かも











「秋くん、中学の頃やんちゃしてたっていうの
どんなだったのか聞きたいな♪」











去年の冬にまた今度とはぐらかされてからずっと気になっていたこと




あんまり言いたがらないから、聞けなかったけど




今日は星の力を借りて聞いてみた
なんてね






私がそう尋ねると、秋くんは少し笑っているものの
どこか苦い表情になった











「聞いてもいいことはないよ?」





「それでも聞きたいな♪
もっともっと秋くんを知りたい」











自分でも大胆な事言ったとは思うけど


でも本当に知りたいんだ




秋くんの過去も


未来は一緒にいられたらいいと思うほど好きなの






そんな私の熱意が伝わったのか…
秋くんはコクリと頷いて、自分の寝転がっている横をポンポンとした











「冬羽も寝転がって話そう」





「う、うんっ♪」











秋くんの隣に寝転がるのは恥ずかしいけど…



でも同時に少しは気を許してくれてるのかな?って、嬉しくなる






そんなことを考えてにやけそうになる口元を隠しつつ、ゆっくりと秋くんの隣に横になった






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