*°春夏タチバナ*°
私が横になったのを見計らって
秋くんはゆっくりと話し始める
「うちは母親がコロコロ変わってたみたいなこと前に言ったじゃん?
俺の本当の母は俺が幼い頃病死したんだ
俺は幼かったからあんまりわからなかったけど
父は本気で母が好きだったからショックだったみたいで、俺の面倒を見る余裕も無くて
よく、祖父母にあずけられてた」
そう話す秋くんがどことなく苦しそうで
悲しそうな表情なのが印象的
「俺は仕方ないと思ってたけど、父は幼い俺には母が欲しいんだろうって再婚した
そこで弟妹できて、やっぱり自分の子供がいい二人目の母は弟妹をかわいがって俺は変わらず祖父母のところだったんだ
そのせいもあって、父と二番目の母はもめて離婚した」
すごく、複雑な環境だなぁ
ここまでくると、秋くんは淡々と他人事のように話はじめ出した
「そこから同じことさ
気付いたら2番目の母と同じことの繰り返しで俺は中学生になった
中学になって、今まで無意識に我慢してた気持ちが爆発したみたいに俺は反抗的になったんだ」
「無意識に我慢してた気持ち…?」
なんとなく予想はつくけど
秋くんの言葉で聞きたくて、私は聞き返した
「うん、もっと俺を見てほしいって
1番上で我慢している俺とは違って
2番目より下は可愛がってもらってるのが気に食わなかったんだよね多分」
「なるほど…」
やっぱりそうだったんだ
そりゃ、本当の母がもうこの世に居なくて
弟妹のために我慢してたらいつかは限界が来るだろう
それを秋くんは小学生の時ずっと耐えていたんだ