*°春夏タチバナ*°
「んでまぁ、梨花から振られて
結局女ってそんなもんだって思って付き合うとかはしなくなったよ
そんなことずーっと、3年間続けてたら
流石に父にバレちゃった」
3年間していてやっと気づく父親さん
そんなに忙しかったら体調崩しそう…
「めっちゃ怒られて殴られたよー
でも俺にだって言い分はあったわけだし、この際だって全部言ってやった
"母なんていらない"
"もっと俺を見て欲しかった"
"なんでお前が父親なんだよ"
ってね、最後のは自分でも最低だと思ってる」
私はすっかり秋くんの話を夢中に聞いていて
次の言葉をじっと待つ
「最低な事言った俺なのに父は
"やっと本音を言ってくれた" って笑ったんだ
俺はずっと思ったこと言わずに我慢してて
自分で分かってもらおうと、見てもらおうとしてなかっただけなんだ
逃げてただけだった」
秋くんはそう言うと優しげに微笑む
自分で間違いに気づいた秋くんと秋くんパパ
きっと色んなすれ違いがあったんだろうな…
「そんなこんなでその時の母とも離婚して
俺の希望通りそれから父は再婚することいまだにない
だから俺は決めた
そういう、夜遊び女遊びは一切高校ではしないってね
なんて言う、よくある昔話だよ」
そう言って上半身を起こした秋くんの顔は
私の勘違いなのか、すっきりしたように見えた
やんちゃしてたにも程があるけど
色んな間違いに気づいてそれを正した秋くんがやっぱり私は変わらずに好き
過去のことは変えられないけど
寂しいって思わせないくらい近くにいたい
余計にそう思っちゃうんだ