*°春夏タチバナ*°




風のように走る春翔くんに引きずられて来たのは、人気の少ない非常階段




さすがに文化祭でも非常階段は人が少ないからね











「ここに連れてきて何したいんだよ」










ついて早々非常階段をのぞくように隠れた春翔くんに秋くんが問いかける




けど、すぐにその口はふさがれてしまった











「見ろ、俺がたこ焼き買ってる間に夏那と元カレがあそこで喋ってたんだよ」











春翔くんの言う通り、非常階段に座っているのは夏那ちゃんと元カレの由くん





そうそう、これだよ





2人の間にあるこのモヤモヤをどうにかしたいって思ってたから
ちょうどいいタイミングだったかもしれない





っていっても、私がどうにか出来るわけないんだけどね…











「楽しそうにしゃべりやがって
やっぱ未練があんじゃねーのか?」





「さーねー、まぁ夏那は好きで別れたんだし
向こうがその気なら復縁もありえるんじゃなーい?」





「んなことさせるかよ!」











秋くんは慰めるどころか
どんどん春翔くんの不安を煽ってる気がするんだけど…




ここは何も言わずに見守ろう…




もう春翔くんキレてて怖いしね…










「ま、隠れてコソコソ見てるだけのやつは
そんな大口たたけないよねー」











そういって秋くんが春翔くんの背中をポンッと押すと




そのままの勢いで春翔くんが2人の前に
姿を現した!っていうか



2人の前に間違って飛び出しちゃった!






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