*°春夏タチバナ*°
たどり着いた一軒家
表札には《立花》と書かれてある
ここが、ここが秋くんの家なんだ!!
「秋くん待ってね、緊張してきた…」
秋くんパパがいたらなんて挨拶したらいいのかな?
9人妹弟って言ってたよね…
他の妹弟さんに会ったらなんて言ったらいいんだろう…
やっぱりなんか私なんてお邪魔な気がしてきた…
そう考えていると、そっと秋くんが頭をなでてくれた
「大丈夫、別に普通の家族だよ
父は今いないし身構えなくていいから」
「えっと、うんっ、が、頑張る!」
秋くんのおかげで少しだけ緊張がほぐれた
ほぐれたって言っても
120%のうちの20%くらいだけど…
そして私が深呼吸したと同時にガチャっとドアを開けた秋くん
「お、おじゃまします…」
そして緊張していた私の目に飛び込んで来たのは───
「やっと帰ってきたよあいつ!」
「え〜!ていうか彼女っぽいの連れてる!!」
「あいつにも彼女とかいるんだ!」
「ていうか、どうせ遊びの彼女だろ」
「きっも」
私の目には沢山の妹弟さん達と
秋くんへ投げかけられたそんな言葉
その言葉に違和感があるのはなんでだろう?
なんだか普通の家族っていうよりは
何かが違うよね…
そんなことを考えてボーッと突っ立っていると
秋くんが恐らく次男の中3の子に話しかけた
「俺今日1日はこいつらの面倒無理だから
よろしくな?」
「うるさい
なんで俺に指図するわけ?うざいんだけど」
「はぁ…はいはい
さ、上行こう冬羽」
「えっ?あ、うん?」
今の弟くんの態度あんまりじゃない??
そんなの本人目の前にして言えるわけないけど…
とりあえず手を引かれるまま秋くんの部屋だと思われる所についた