*°春夏タチバナ*°




「秋くんの部屋だよね?」





「そうだよ」











そう言ってドアをパタンと閉めた秋くん



その行動に少しドキッとしてしまったり…
男の人と2人きりの空間…




いや、付き合ってすぐの頃は私の家にきてたから2人きりだったけどさっ?




でもなんか、違うよね!?




自分のテリトリーと人のテリトリーとじゃ
緊張の度合いが全く違うからね…











「秋くんらしい部屋だね♪
あんまり何にもない感じ」





「ん〜まぁ必要最低限かな」











本当にマンガ本が少しと
参考書とかが机の上にあって


あとはテーブルとベットだけ




全体的に黒とか青とかが多い





本当に秋くんって感じ











「適当にそこら辺に座っていいよ」





「あ、うん♪
おじゃましま〜す…」





「おじゃましますって!
ね?こんな家来ても楽しくないでしょ?」











そう言って笑う秋くんは特に変わった様子はない




けど、私はさっきの弟妹さん達の態度がやたら気になってたりするんですよね…





だって結構面倒見てもらってて
親代わりみたいな秋くんにあんな態度…






私が言いたいことが分かったのか
秋くんは私の顔を見て苦笑いになる











「あいつらの態度が気になるんでしょ?」





「えっ…いや…その…」











秋くんのこの表情は

あんまり触れていいことじゃないような気がして、戸惑ってしまう






そんな私を見てまたしても秋くんは頭をポンポンっとなでてくれる





優しくて落ち着くこの手




きっと秋くんの手は魔法の手なんじゃないだろうか?






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