*°春夏タチバナ*°
そして放課後
夏那ちゃんが屋上に行くのを見送って
帰ろうとしていると、秋くんから引き止められた
「何本当に帰ろうとしてんのバカなの?」
「えっ!?帰らないの!?」
「うん、春翔がそれじゃ満足しないでしょ」
「そ、それもそうだよね…」
秋くんの隣にはすごく不機嫌な春翔くん
恐ろしい…
「1人で来いとは言ったけど
立ち聞きするなとは言われてないからね」
「お前って本当にそういう所ひでーよな」
「なんとでも言いな
てか、嫌なら行かなくていいけど?」
「嫌とは言ってねーだろ!
さっさと行くぞ!」
「ツンデレかよー」
ケラケラ笑う秋くんの腕を引っ張って進む春翔くんがなんだか可愛く見えちゃった
そんな事言ったら間違いなく怒られるけど…
小走りで屋上につき
ドアの所に立つと
微かに夏那ちゃんと由くんの声が聞こえてきた
そして、夏那ちゃんが由くんを抱きしめた──
な、夏那ちゃん…?
それを見た瞬間春翔くんはボソッと
"だから嫌だったんだ"と、憎しみのこもった声で言って、走って帰ってしまった
私と秋くんも春翔くんを追いかけてその場を静かに去った
夏那ちゃん、どういうことなの??