*°春夏タチバナ*°




【夏那side】





私が屋上につくと、既に由は来ていた



なんでこの時期に由が転校してきたのか…
全くわからないけど…でもちゃんと由の話を聞かなくちゃいけないと思った











「話って、なに??」











恐る恐る近づきながら聞くと
由はようやく昔みたいに微笑んでくれた





私はこの笑顔が好きで
優しくて、時には面白い由が好きだった




なのに再開した時には
ギスギスしてて、少し怖くて、喧嘩っぽくて


そんな由に変わってしまってたんだもん…











「俺がここに来たのは、先輩からも同い年の奴からも、ましてや後輩からもバカにされ
いじめられたからなんだ」





「い、いじめ……?」





「そうだ、部活では先輩から
クラスでは同い年の奴から
登下校は後輩からからかわれた」











そんな…


由はみんなから好かれていて
いじめする人でもされる人でもなかったのに…











「理由わかるか?」





「わ、わからない…」





「夏那と別れて、離れて寂しさに気づいた
別れなきゃ良かったって後悔しだしたらどんどんハマっていった」





「そんな…」





「それで学校も行きたくなくなって
でも部活が楽しかったから行ってた
でもいつの日か、暗くなった俺にみんな振られて暗くなるなんて女々しいって言い始めた」











女々しいなんて…



それは相手のことそれだけ想ってたってことなのにそんな事言うのはひどい



だから文化祭の時も春翔のこと叩いちゃったんだよね…











「それからいじめられて、部活も嫌で
どんどん不登校になった
文化祭の時に一緒に来てた先輩は唯一仲良くしてくれてた人
でも文化祭でまた振られて本格的に不登校になったんだ」






「ご、ごめん…」











私の存在が由を散々苦しめてる


私のせいで由の人生が狂ってる



そう思うと胸が痛くなってきた











「そうだ
お前のせいなんだよ!」











今まで淡々としゃべり続けていた由が

いきなりそう怒鳴った





急に言われたことにビックリしてしまう






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