*°春夏タチバナ*°
本当に最近ついてない
楽しいこともない
おまけにこんな大雨なんて…
ここで私の人生は終わるんじゃないか
とも考えた瞬間────
「冬羽」
今日初めて聞くその声
その大好きで大好きで嫌いになれない声が聞こえてきた
「しゅ…うくん…」
「傘ないの?
俺のに入っていく??」
なんでこんなにも普通なんだろう?
秋くんは悪いことしたって思ってない??
でもやっぱり誘ってくれたことは嬉しくて
頷こうとすると
突然私の肩をポンッと誰かがしてきた
「冬羽先輩、俺のに入りましょうよ」
「冬貴くん…」
肩に手を置いたのは冬貴くんだった
こ、これは…どうしたものか…
というか、イケメンふたりに誘われて
両手に花?ってやつなのでは…
なーんて、のんびり考えてる場合じゃないですよね
「冬羽、俺が送っていく」
「浮気してるくせによく言えるよなそんなこと
冬羽先輩は俺が送る!」
「俺が送る」
「お前には任せれない!」
私がどうしようか考えている間に
二人がそう言い合いを始めてしまった
ちょ、もう…どうしよう…
でも、秋くんと今一緒に帰って何も変わらないよね
だったら…