*°春夏タチバナ*°




もう始まると言うのに…


いや、既にもう5位の人は発表されたというのに



ステージ裏の控え室にいるはずの秋くんが
なぜ今私の視界にいるのか?





そんなことを考えて、言葉も出ないでいると
秋くんはくすっと笑った











「考えてること顔に出てるよ冬羽
春翔と夏那から冬羽と話すように言われたんだ
まぁ、今はもう行かなくちゃだけど」











夏那ちゃんと春翔くんが…?











「あ、それと、冬貴からは"冬羽先輩を幸せにしなかったら怒りますから"って言われたよ」





「そ、そんな…」











冬貴くん、きっとふられるの分かってるんだ



それで秋くんにそんな事言ってくれて…
本当にすごく素敵な後輩だよ



すごく大好きな後輩だよ











「じゃあ俺行ってくるから
ちゃんとしっかり見ててよね」





「う、うん…
ここで見ておくね」











私の返事を聞くと、秋くんは嬉しそうに笑って
控え室に向かっていった







秋くんがどうしてあんなに普通なのか
そんなのわからないけど






でも大丈夫







私はもう逃げたりしない




逃げる私はおしまいなんだから







< 262 / 284 >

この作品をシェア

pagetop