*°春夏タチバナ*°
冬貴くんの突然の告白に
その場にいる全員がザワザワとする
嫌な予感的中…
「おーっと!?お熱い告白ですね!
相手の方はどちらにいらっしゃるんでしょうか!?」
司会の人は楽しそうにステージの周りの人だかりに目を向ける
すると、夏那ちゃんが手を挙げて、私を指さした
「あの方ですねっ!
さぁー!お返事をお答えしてくださいっ!」
司会の人がそう言って私を指さすと
その場のみんなが私を見つめる
怖い怖い怖い
今ここでなんて…
冬貴くんが可哀想すぎるんじゃないの…?
泣き出したい気持ちで言葉に詰まっていると
夏那ちゃんがポンッと頭をなでてくれた
「大丈夫だよ冬羽
思ってることをちゃんと言いなよ」
「夏那ちゃん…」
そうだよ
結果はきっとわかってて冬貴くんも言ってくれたんだよね
だったら私も誠心誠意お答えしなくてはいけない
私は思いっきり肺に息をためて
今まで出したこともないような大声で
ちゃんと冬貴くんを見つめて
「ごめんなさいっ!
私には付き合っててとても大好きな人がいます!
でも、冬貴くんはとても大切な後輩です!
告白ありがとう…♪」
そう言った
その瞬間ワッと盛り上がる会場
冬貴くんもありがとうございますって笑ってくれたし
これで、いいんだよね…