*°春夏タチバナ*°
思い切ってドアを開けると
新学期独特の緊張した雰囲気と
誰かと友達になるために話す声がヒソヒソと聞こえる
私は何度体験してもこの緊張感には慣れない
そう、緊張しながら自分の席に座ると
前に座っているのは
髪を爽やかにセットした男子の後ろ姿
立花 秋だから女の子だと思ってたけど
アキくんなのかな?
それとも顔が見えないからショートの女の子とか??
そんなどうでもいいようなことを考えて
緊張を紛らわしていると
チャイムと同時に担任と思われる男の先生が入ってきた
その先生と同じタイミングで後ろのドアから
────バンっ!!
と、バタバタと走って息を切らせた金髪の男の子も現れた
もう一度言います、金髪の男の子です
それだけならいいものの
少しチャラめに制服を着崩して
身長が高く、顔の整っている人なんです
まるで漫画の世界からきたみたいな…
「あっぶねー!入学早々遅刻とか俺の名に傷がつくとこだったわ!
おい、お前気付いたか!?
俺から出席番号4つ春夏秋冬だぞ!!」
あぶないというか遅刻というか…
なんだかすごそうな人は
よりにもよって私の前の席の男子に話しかけながら
みんなの目なんて気にしていないように近寄ってきている
話しかけられた前の席の人は
顔こそ下を向いたままだけど呆れたようにため息をついた
「はぁ…お前黙れって
遅刻だろうし、もうHR始まるんだよ?」
「ってー!!!!
なんでこの俺の席が教卓の所の一番前なんだよ!クソかよ!」
金髪くんは前の席の人の注意なんて聞いていないようで、話し続ける
きっと今クラスのみんなが思ってるはず
"イケメンだけどやばそうな人と同じクラスになったって"